誹謗中傷、5つの事例

どういうものが誹謗中傷になるのかについての概略はすで触れ、相談事例で多いのは個人情報がさらされる「プライバシー侵害」といわれもないことを書き込む「名誉棄損」の相談件数が多いことも指摘しました。
ここでは皆さんがどこかで耳にしたことがある、そんな事例を紹介します。

誹謗中傷の事例1.

大変話題になったので皆さんがよくご存じの大阪の市立高校の体罰問題および生徒が自殺した事件では、大阪市の教育方針や入試の中止などの問題についてさまざまな意見が飛び交ったのは記憶に新しいところです。

その市立高校は連日マスコミの俎上にあげられたことで、在校生にも少なからず批判の目が向けられ、生徒の自転車がパンクさせられたり、運動部の元キャプテン8人が記者会見した後からはインターネットの掲示板などに、いわれのない批判や誹謗中傷が書き込まれました。

この大阪の市立高校の件では、生徒の個人情報がさらされる「プライバシー侵害」といわれもないことを書き込まれる「名誉棄損」が同時に起きていたと思われます。

誹謗中傷の事例2.

東京都の行政書士の男が、女性トラブルから千葉県の男性に対して、インターネット上のブログや動画サイトで、経歴を誹謗中傷したうえ、さらに男性の容姿を攻撃するなどの誹謗中傷を繰り返す事件もありました。

攻撃された男性は自身の経歴を断わりなく公表するのは名誉毀損にあたるとして、サイト運営者に対して削除するよう求めましたが「個人が特定できない」などと対応を拒まれたため、名誉毀損で刑事告発するに至りました。

誹謗中傷の事例3.

突然、ある時期から女性の携帯電話に「援助交際させてほしい」という電話が1日に数十件かかってくるようになった。
電話をかけてきた相手に事情を聞くと、インターネットの掲示板に氏名と電話番号が記され、そこには「援助交際希望」というコメントが書き込まれていることが判明した。

こうした事例は非常に多く、掲示板等に氏名や住所、電話番号などとともに「恋人募集」などのコメントが掲載されるなどもあります。
名誉毀損や侮辱罪が十分に検討される事例ですね。

生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)がSNS(ソーシャルネットワークサービス)ユーザーの20~30代未婚女性300名を対象に「SNSと恋愛」をテーマにした意識調査を実施し、その結果を発表しました。
それによると、一方的な好意を押し付けられてしまうなどのほか、誹謗中傷に巻き込まれたりの恋愛トラブルに6人に1人が経験があると答えています。

インターネット上での誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー侵害などの深刻な被害を受けて、ネット上では基本的に実名登録制のフェイスブック(FB)などに移行する人も増えているようです。
見ず知らずの通りすがりの人にコメント欄で誹謗中傷されるくらいならと、相手の顔が比較的見えやすく特定されやすいフェイスブック(FB)が好まれているようです。
日本のFBユーザーは1か月で約330万人といわれています。

ただし、最近ではソーシャル・メディア・ハラスメント、いわゆるフェイスブック(FB)やツイッター、ミクシィなどSNS(ソーシャルネットワークサービス)を通じた嫌がらせの相談も増えていますので気をつけたいですね。

誹謗中傷の事例4.

少し古い事例になりますが、2001年、日本生命は、自社職員の肩書や実名を挙げて誹謗中傷する書き込みがあったインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に対し、書き込みの削除を求める仮処分申請を行いました。

日本生命によると「保険業界」をテーマにした記載が「社員や会社を中傷している」として管理者に対して、削除依頼メールや内容証明郵便を送付、書き込みの削除を要請しましたが、2ちゃんねる側がこれに応じず放置したため、仮処分申請をに至ったと説明。
2ちゃんねる側は、社員個人を対象にした書き込みについては自主的な削除を申し出ていましたが、法人としての日本生命に関する書き込みの削除には応じませんでした。

審理の結果、東京地裁官は日本生命側の主張を認め、管理者に対して削除を命じる決定を下しましたが、こうしたニュースが報じられたことで掲示板へのアクセスがさらに増え、日本生命側にとって誹謗中傷とみられる書き込みは、仮処分申請後もやみませんでした。

誹謗中傷の事例5.

インターネット上の掲示板に「○○を襲撃し殺す」「拉致する」「爆破する」などと書き込み脅迫するなど事件も多発しています。

最近あった事例では、小学校時代にいじめられたことを恨み、教育委員会のせいだとして、「教育委員長を襲撃し殺す」などとインターネット上の掲示板に書き込み逮捕されるという事件がありました。
これなどはまさに脅迫にあたります。
また威力業務妨害などの疑いなども対象となるでしょう。

また、先頃、市長選に立候補を予定している候補者がインターネットサイトに市政や人間像について書き込みされた内容について、刑法の名誉毀損罪と侮辱罪にあたるとして、投稿者を氏名不詳で告訴、受理された事件もありました。
告訴状によると、ネット投稿された文面を特定し、根拠のない悪意に満ちた中傷で、信用失墜を意図したものとしていて、候補者は「いろいろ言われ相当辛抱したが、ネット掲示板は広がる恐れがあり、私の名で告訴した」と語っています。

2013年の国会でネット選挙を解禁する公職選挙法改正案が提案され、国会での成立は確定的な状況です。
法案では、これまで禁じられていた選挙期間中の候補者によるホームページ(HP)やツイッター、フェイスブック(FB)などサイトの更新が解禁され、電子メールについては、送り手は政党と候補者に限り、事前に受け手の同意を必要とするとされています。
ネット選挙解禁となって、多くの名誉毀損罪や侮辱罪の報道がマスコミを賑わすことでしょう。


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